IT業界は、米国を中心とする英語文化・標準がデファクトとなっています。
このため、IT業界で働く上で英語力対応に不安を感じている人もいることでしょう。
この記事では、IT業界で働く上で英語が必要な理由や対策、また勉強法などについて詳しく解説していきます。
この記事を読むことで、一定の英語力を身につけることができます。
IT業界で働く上で英語が重要な4つの理由
IT業界で働く上で英語が重要な理由は、実は数多くあります。
その大きな理由として、最先端のIT関連技術に触れ、また習得するためには、必然的に、英語で記載された各種情報へのアクセスが必要となることが挙げられます。
英語を公用語とする国の技術者は、日本国内のそれと比べて圧倒的に多数かつ、ハイレベルのため、質の高い記事のほとんどが英語で書かれています。
このため、英語のWebサイトなどから様々な情報収集ができれば、エンジニアとして非常に有利となります。
次に、主な理由についてそれぞれ解説していきます。
英語でしか手に入れられない情報がある
まず最初に、IT企業で英語が必要となる理由としては、最新の情報は英語でしか得られないことが挙げられます。
IT業界における日進月歩の速度は激しいため、ITエンジニアは常に最新情報を仕入れるよう努めることが重要です。
特にIT業界では、最新の製品・テクノロジーに関する情報は米国をはじめとする海外から日本へ移入するケースが多く、また深い情報が満載されたブログなどは、ほとんどが英語で記載されています。
このため、様々な最新情報を得るためには、英語力は必要不可欠となるのです。
各種情報は日本語に翻訳される場合もありますが、翻訳されなていないことも多く、また翻訳されたとしても、その時点で当該技術が既にデファクトとなっており、多くのエンジニアがすでに習得済みの可能性が高くなります。
日本でまだ普及・浸透していない最新情報や難易度の高い技術を、英語で書かれたWebサイトやブログなどから収集できれば、ITエンジニアとして非常に有利になります。
海外進出を視野に入れている企業が多い
直近では世界的なコロナ禍で移動が制限されており、厳しい経済環境ではありますが、それでも海外での展開を考えている企業は潜在的に多いため、これに伴い、英語の需要も高まっています。
特にIT業界は、国境などに関係なく、様々な人と瞬時に情報を共有できるため、多くの企業が海外への進出を検討しています。
海外進出を考える企業の多くが、人材を採用する際の条件としてTOEICの点数を基準として設定しており、また英語をIT関連の資格だけではなく、社内での評価基準としている企業も多数あります。
メガベンチャーとして知られる楽天においてはTOEICで800点のスコアを保有してないと入社出来ないといった過酷な条件です。
転職者にとっても、より条件の良い会社に転職し、海外に活躍の場を求める場合には、英語能力が高ければその可能性が高まります。
また、多くのIT企業が手掛けるオフショア開発の際も、海外のオフショア委託先では日本語が話せない場合も多い状況です。
就職先でオフショア開発を行うポジションに就いた場合、英語が話せないと、海外オフショア先とのやり取りができません。
国際的な働き方が可能になる
前項で述べたとおり、企業のグローバル展開が今後進展する中で、海外ベンダーを利用したオフショア開発や、海外子会社へのシステム導入など、ITシステム担当者にも国際的な働き方が求められています。
いずれは海外で働き、海外の顧客と一緒に仕事をしたいと考えるITエンジニアも多数います。
海外のIT企業の多くが日本に進出しているのと同様、日本から海外に進出している企業も数多くあります。
英語が使えれば、海外オフショア開発において、PMやリーダーなどの役割を努めたり、またブリッジSEとして活躍できるチャンスも広がります。
こうした状況から、一定の英語レベルを習得していれば、国際的な働き方が可能となります。
仕事の幅が広がる
ITエンジニアとして一定レベルの英語力を身につけておけば、仕事の幅が増えるメリットも得られます。
日本国内でITエンジニアとして働く場合には、日本語さえできれば問題なく他のエンジニアとコミュニケーションが図れますが、英語力を身につけることで、仕事の幅がさらに広がる可能性があります。
英語力を身につけておけば、海外のクライアントから仕事を受注できたり、国内では経験できない案件に関わることも可能となります。
仕事をしながら、多くの経験を積み、自身のスキルアップを図りたいという向上心のあるエンジニアほど、英語力は大きな武器となります。
コロナが収束後は、再びインバウンドの拡大によって、外国の方が日本に来て働く可能性も高まります。
こうした状況下、近い将来には会社の公用語が英語になっていく可能性もあります。
外国と取引がある企業では、英語でのやり取りが必要不可欠なため、今後職場環境が変化した際にも対応できるよう、英語を学んでおくべきです。
英語ができるとIT業界への就職・転職がしやすい?
英語力を身につけておくことは、ITエンジニアにとって、IT業界への就職・転職活動の際にも非常に有利となります。
国内企業だけでなく、英語力を活かして海外企業や外資系企業への応募が可能になるためです。
また、英語を活かせる仕事は、そうでない場合に比べて給与や時給が高くなるため、より条件の良い企業に就職・転職が可能となります。
IT関連企業では約20%、社内SE限ると40%が英語力を採用条件にしている!?
IT関連企業が英語力を求めている割合をみると、全体で約20%、また社内SEに関しては実に40%が、英語力を採用の条件としており、この割合は年々増加する傾向にあります。
社内SEに英語力を求める理由は、社内SEを求めている企業の多くがグローバル企業や、海外展開をしている企業のためです。
ただでさえ競争率が高い社内SEというポジションで、英語力がゼロだった場合、実に40%の求人に応募できなくなります。
参考:https://www.notion.so/Copy-of-cfcfd58c986f4539aa8b06c422670612#4ddd0baa51334cd29e600889fa01594f
社内公用語を英語としている企業がある
社内公用語を英語にする動きの魁(さきがけ)として、2010年に楽天とユニクロの両社がこの制度を取り入れたことが有名です。
その後も、続々と他の有力企業も社内での英語公用語化を実施してきました。
この2社を含む4社を事例として解説します。
楽天
総帥である三木谷社長が、同社をグローバル化させるため、社内公用語を英語にすることを決定しました。
世界レベルでのビジネス競争に打ち勝ち、世界中から優秀な人材や情報を集めることが大きな要因となっています。
ユニクロ
同社のの柳井正会長兼社長は、人口減少などによって市場規模が縮小する状況下で、日本企業が世界で生き残るために英語を社内公用語にし、幹部社員の給与体系も世界で統一することを公表しました。
日産自動車
フランスのルノーと提携した後、社内で英語を事実上の公用語として定着させてきました。
約半数の役員が外国人のため、社内で上程する書類は全て英語となっています。
伊藤忠商事
全社員に対して、英語教育・研修や専門研修を実施しています。
日本本社で外国人を含む会議を行う場合には、英語を公用語として設定しています。
上記の企業に興味がある方はリクルートエージェントで企業詳細を確認できます
公式サイト:r-agent.com
必要とされている英語力とは
ITエンジニアに必要とされる英語力とはどのようなものでしょうか。
IT関連の最新情報は英語で出回ることが多いのが前提ですが、IT営業職の場合、クライアントや社内メンバーと折衝する業務のため、コミュニケション能力(リスニング・スピーキング力)が重要となります。
一方、ITエンジニアもその能力が求められますが、英語のマニュアルやドキュメントなどを読解(リーディング)し、必要な情報を素早くディに技術に落とし込む力が求められます。
求められる主な項目について解説します。
日常的な英語を理解できる
ITエンジニアにとって、自分が置かれた職場環境で、日常的に交わされる英語を理解できることが大きなポイントとなります。
特に、外資系企業などでは、幹部社員や出張社員の多くが海外の英語圏から派遣され、日常会話を英語で行うため、その内容を理解できれば、信頼感にもつながりますし、仕事を任せられることになります。
また、単に理解するだけでなく、身近な話題について、自分なりの意見を簡単に述べたり、自分の考えやその背景を相手に伝えられれば、更に評価は高まります。
外資系企業に常駐しながらITエンジニアとして働くために、一層の英語のレベルアップが求められます。
IT業界の英単語を知っている
英語力を高める上では、ともかく多くの単語を覚え、また語彙力を高めることが非常に大切です。
IT関連の文書を読んだり、また日常的な会話の中でも、知らない単語が多く飛び交っている状況では、なかなか英語のキャッチアップができません。
せめて、IT業界でデファクトとされる英単語は習得しておくべきです。
そのためには、単語帳や関連アプリなどを使用し、仕事の空き時間や、通勤・通学時間などを有効に活用しながら、ITエンジニアとして使用する単語を覚える努力が必要となります。
TOEICの目安は700点以上
英語力を評価するための指針として、TOEIC事業を展開する一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会による「レベル評価表(*)」が挙げられます。
(*)https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/guide04/guide04_02/score_descriptor.html
それによれば、TOEICテストにおけるリスニングスコア(聴く能力)が375点以上、リーディングスコア(読む能力)が425点以上(合計800点以上)あれば、一定の英語力を有していると評価されます。
そして、実際にTOEICにおけるトータルスコアとして高いスコアを求めている企業が多くあります。
主な有名企業の事例をいくつかみていきます。
企業名 | TOEICスコア |
三井不動産 | 730点以上 |
三井住友銀行 | 800点以上 |
三菱商事 | 730点以上 |
双日 | 730点以上 |
武田薬品 | 730点以上(新卒の一部) |
資生堂 | 730点以上 |
ITエンジニアに必要な英語力は、TOEICの場合700点以上というのが評価指標とされています。
一番重要なのはITの技術や知識なので、上述した企業のレベルまでの英語力が求められる訳ではありません。
目安としては、外国人との一般的な日常会話に問題が無いレベルで、IT専門用語が身に付いていれば十分です。
IT業界で通用する英語力を身につけるには
英語は学問ではないので、暗記や詰め込みで上達するものではありません。
ともかく、日々継続して英語に親しみ、英語力を高めるための努力を積み重ねることで、自然と身につけることができます。
ITエンジニアが英語力を身につけるのも条件は変わりませんが、効果的ないくつかの方法を下記に解説します。
英語メディアを毎日読む
英語力を身につけるために、英語メディア(新聞・雑誌など)を毎日読むことを日課とします。
媒体としては、エンジニアの仕事に特化したものであれば、専門用語を覚えることもできるので、より実践的な英語力が身に着きます。
英語の書籍を読む
英語力は、本を読むことでも身につけることができます。
英語で書かれた小説は、文章力や語彙力を高める上でも大変有効です。エンジニアの仕事に関連した英語の本を読むことによって、一層専門用語に親しめます。
日本語字幕付きの映画を観る
エンジニアの仕事で、英会話力を高める観点からは、日本語字幕付きの映画を鑑賞することが有効です。
実践的な言い回しを覚えることができるため、日常会話や交渉スキルの向上が図れます。
英語のニュースを日頃から聞く
上述した、英語のメディアを毎日読むのが「リーディング」強化だとすれば、英語のニュースを毎日聴くのが「リスニング」強化となります。
TVでは、チャネルを契約すればCNNやBBC、FOXなどの世界的大手メディアの英語ニュースがそれこそ毎日シャワーのように流れています。
ただそれを何気なく聴いているだけで、自ずとリスニング能力が強化されていきます。
毎朝、出勤の準備をしながら無意識に英語ニュースを「垂れ流し」で聴くことで、ノルマ意識もなく自然に英語と親しめます。
オンライン英会話
英会話力を高めるためには、実際に英語を話せる環境で、相手を前にしながら会話するトレーニングの反復が有効です。
オンライン英会話ではこうした会話のトレーニングができるため、英会話を上達させたいエンジニアにはおすすめです。
無料で英語を学習できるアプリや、オンライン英会話は数多くリリースされています。
手軽に、また隙間時間を有効活用しながら学習できる有力サイトについてみていきます。
レアジョブ英会話
業界最大手のオンライン英会話サービスで、時間や場所を選ばず受講できる上に、通学型に比べれば非常にリーズナブルな料金設定が魅力です。
累計会員数90万人、講師6,000名以上という、圧倒的な実績と規模を誇り、オンライン英会話業界では唯一の東証一部上場企業です。
3,100社以上のクライアント企業や教育機関が導入するなど、サービスレベルも安定しており、イード・アワード2019「英会話スクール」におけるオンライン英会話部門で最優秀賞に選ばれています。
EFイングリッシュライブ
スウェーデンに本拠を置く、世界最大級の私立語学教育機関が運営するオンライン英語学習サービスです。
英国ケンブリッジ大学との共同開発によって実現された高品質プログラムは、全世界2,000万人以上の個人と、1,500社以上の企業に導入されており、16段階のレベル分けにより、リスニング・ライティング・スピーキング・リーディングの基本4ジャンルの全てを効率的に習得することが可能です。
2,000人以上在籍する講師は、全員がネイティブ講師であり、また大卒、かつ英語指導資格その他の有力資格保有者で、常に高品質なレッスンが受講可能です。
IT・Web向けの英語学習Webサービスを使う
IT・Web向けの英語学習Webサービスを利用する方法もあります。
その代表例として、HiNative Trekがあります。
このサービスは、1,600万人の会員が語学学習のために利用している、アウトプット特化型のオンライン英語学習サービスです。
外国語を学習する人向けのQ&AサービスであるHiNativeと、外国語を無料で添削するサービスであるLang-8があります。
HiNativeとLang-8は、自分の書いた文章が正しいかどうか、また、自分の言いたいことをどう表現したらいいかなどの疑問を、ネイティブスピーカーに聞くことができる、語学学習のためのプラットフォームです。
HiNative Trekは、平日に毎日1問ずつ、英語の課題と担当ネイティブ講師からのフィードバックが受けられる英語学習サービスです。
ライティングやスピーキングといった、日本人に不足している英語を、スマホでひとつで学習できるのが特徴です。
HiNativeとLang-8は無料ですが、Hinative Trekは有料のサービスとなります。
Youtubeを活用
こちらは、言うまでもなく世界最大の動画プラットフォームです。
様々な英語・英会話関連の学習プログラムやスクール、またレッスンが無料で全世界に公開されており、自分が求める内容を選択して、自由に学習することができます。
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ITのグローバル化に伴い、国境を越えて活躍するITエンジニアが増えています。
人件費を節約する目的などから、システムやアプリ開発などの業務を国外の企業に委託する、いわゆる「オフショア型」プロジェクトも増加しています。
エンジニアが高い英語力を身につけることで、国内外で幅広い仕事に関わり、転職でも有利になるメリットがあります。
ITエンジニアとして、今後ますます英語力を高める努力が求められます。