SIerからの転職は難しいのか、疑問に思っていませんか?
SIerには大手と中小が存在し、取得できるスキルもさまざまです。
そこで今回はSIerからの転職は難しいのか?の答えとなる、ケース別の難易度について解説いたします。
SIerからの転職時に注意したいポイントやよくある質問についてもまとめているので、SIerからの転職を目指している方はぜひ最後まで読んでみてください。
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- SIerからの転職難易度を6つのケースに分けて解説
- SIerからの転職で注意したいポイント4つとは
- SIerからの転職でよくある質問に回答
【結論】求める条件によってSIerからの転職難易度は変わる
SIerからの転職は難しいのか?結論は「求める条件によって難易度が変化する」です。求める条件とは転職先、もしくは目指すキャリアのことになります。
くわえて自分が所属していた企業のポジションも重要です。大手よりだったのか、それとも中小よりだったのか、この部分も関係してきます。
将来に渡って人材不足が懸念されているIT業界は、業種別の求人倍率で見ると比較的高い傾向です。
仮に求める条件がほとんどなければ転職難易度は低くなりますが、その状況はSIerからの転職においても同様と言えます。
Slerからの転職が難しいと言われる理由
SIerは大手と中小で仕事の範囲がまったく違います。転職が難しいとされるケースは、求められるスキルや経験が足りない場合です。
SIer大手で経験を積むと管理スキルは上がっていきますが、開発スキルの上昇は期待できません。大手SIerからの転職でも開発系企業への転職は難しくなります。
またSIerはシステムの安定さを求めて、信頼性の高い既存の技術を扱う傾向です。リスクのある最新技術や新規ツールを用いることは少ないと言えます。
Slerからの転職が難しいと言われるのは、習得できるスキルや技術が限定的になってしまうことからでしょう。
SIerからの転職における難易度をケース別で解説
それでは「SIerからの転職は難しいのか?」の問いに答えていきます。SIerからの転職で考えられるケースを次の6つに分類して、転職難易度を記載してみました。
- 大手SIerから中小SIerへの転職:難易度中
- 中小SIerから大手SIerへの転職:難易度高
- 自社サービスを開発するWeb企業への転職:難易度高
- SIerからコンサルティングファームへの転職:難易度高
- SIerからSES企業への転職:難易度低
- SIerから非IT企業への転職:難易度中
6つのケースのうち、高難易度は半数の3つです。次から内容について詳しく解説していきます。
ケース①大手SIerから中小SIerへの転職:難易度中
まずは大手SIerから中小SIerへの転職の場合です。このケースの難易度は中程度と考えられるでしょう。
前提の知識として大手SIerは主に上流工程を担当し、中小SIerは下流工程を担当します。中小では開発経験を求められるため、難しいと言わざるを得ません。
開発経験があってもブランクを理由に、難色を示される可能性もあります。それでも転職難易度を中としたのは、成功確率が上がるパターンも存在するからです。
例として上流工程から下流工程まで幅広く対応できるスキルを所持していると、予想される転職難易度はグッと低下します。
ケース②中小SIerから大手SIerへの転職:難易度高
次は逆のパターンで、中小SIerから大手SIerへの転職難易度です。これは誰しもが考えるとおり、高難易度に属します。
あくまで基準はスキル・経験となるので、上流工程に関する実績を提示できればチャンスは十分にあるでしょう。
年齢が20代であればポテンシャル採用の見込みもありますが、30代以降は管理職としての資質を問われます。
実際にチームを率いた経験や数字による具体的な実績をアピールできないと、採用枠に入るのはかなり困難です。
ケース③自社サービスを開発するWeb企業への転職:難易度高
自社サービスを開発するWeb企業への転職難易度は、大手・中小に関係なく高い傾向です。
特に100%自社開発企業は数も少ないため、客先常駐を避けたいからと安易に狙ってしまうのはおすすめしません。
SIerの主流である開発環境はウォータープルーフのため、Web企業に多いアジャイル開発の経験が少ない点も不利な条件と言えます。
自社サービス開発企業の人気は高いため、ただでさえ競争率が激しいです。SIerからの転職ではっきり難しいと言えるのはこのケースでしょう。
ケース④SIerからコンサルティングファームへの転職:難易度高
SIerからコンサルティングファームへの転職も少なくない選択肢です。このケースの転職難易度も高い部類に入ります。
ただし大手SIerのシステムエンジニア業務とは親和性が高く、アピールできる経験があるのなら転職成功率は上昇するでしょう。
SIerではユーザー目線が重要でしたが、ITコンサルタントでは経営者目線を求められます。この点も転職難易度を高くしている要因です。
また転職時の年齢にも注意する必要があります。年齢が高いほどしっかりとした実績が必要になるため、企業研究とスキルの棚卸は慎重にすべきでしょう。
ケース⑤SIerからSES企業への転職:難易度低
SES企業のおもな業務は、労働力を必要とする他社に自社のエンジニアを提供することです。
未経験でも転職しやすい領域ですので、SIerからの転職においても難易度はさほど高くありません。
転職で改善したい問題をクリアできるのであれば、選択肢に入れること自体は問題ないでしょう。ただし収入面には注意が必要です。
派遣先が大手であっても給料は所属するSES企業から支給されるため、規模が小さい会社になると年収は低下する恐れがあります。
ケース⑥SIerから非IT企業への転職:難易度中
非IT企業の情報システム部門へ転職するケースですが、この場合の難易度もそう高くはないと推測できます。
これまでの経験で得た業界知識を活かせる環境であれば、転職の成功確率はさらに高くなると言えるでしょう。
SIerでの業務経験を活かせる仕事もありますが、それ以外にセキュリティ管理やヘルプデスクなどの業務も担当する可能性があります。
対応すべき仕事の幅がかなり広がることから、転職難易度は中としました。
SIerから転職するときのよくある理由
SIerからの転職における難易度について解説してきましたが、そもそもどういったことが原因で転職を考えるのでしょうか。
ここではSIerから転職するときのよくある理由について紹介していきます。その内容は次のとおりです。
- 給料面の不満
- Slerでは得られるスキルが限定的
- 最新技術に触れる機会が少ない
給料面の不満
中小規模のSIerで働くエンジニアが、給料面の不満を理由に転職を考えるケースが多いです。
企業のポジションが多重下請け構造の下にいくほど、複数回のマージンが原因でプロジェクト受注金額も減少していきます。
利益が少なければエンジニアの給料も低くなりやすく、スキルや仕事量に見合ってないと感じるケースも多くなるでしょう。
SIerのビジネスモデル自体もコストによって差別化しようとする傾向が強いため、給料面の不満を抱えているエンジニアは多いと推測できます。
Slerでは得られるスキルが限定的
SIerで業務の幅を広げるのは難しく、市場価値も上がりにくいのがエンジニアのイメージです。そのために転職を検討する人もいます。
SIerは大手と中小で担当領域が違うことはすでに解説しました。大手は上流工程、中小は下流工程を担当することが一般的です。
SIerという同じ枠組みですが、得られるスキルはまったく違うものに限定されます。上流工程を担当しながら開発スキルを磨くことは困難であるし、その逆も同様です。
さまざまなスキルを身に付けたいと考えるエンジニアにとって、SIerは必ずしも最良の環境とは言えないことになります。
最新技術に触れる機会が少ない
SIerの特徴として、最新技術に触れる機会が少ないというものがあります。この環境が嫌になって転職を考えるケースです。
SIerは受諾開発であり、開発するシステムには堅実性が求められます。クライアントが官公庁や大企業であれば、セキュリティレベルも高いものを要求されるからです。
そのため実績のない最新技術を取り入れたシステム開発はほとんどありません。何十年も前の技術や施設が当たり前のものとして使われています。
トレンドと言われる技術で開発をしたい、いち早く最新技術に触れたい、こういった考えを持つエンジニアにとってSIerの環境は不向きなのです。
SIerからの転職で注意したいポイント4つ
ここからはSIerからの転職で注意したいポイントについて解説していきます。
次にまとめている4つのポイントを押さえておかないと、SIerからの転職は難しいという結論になりかねないのでしっかりと頭に入れておきましょう。
- 転職する目的を明確に
- 自己分析も時間をかけて
- ポートフォリオを準備
- 企業研究を怠らない
ポイント①転職する目的を明確に
まずは転職する目的をしっかりと明確にしておきましょう。「転職する目的」が「転職先に求める条件」になり、最終的に転職難易度も見えてきます。
転職する際は、改善したい状況がある、新たなスキルを習得したいなど、人それぞれの目的があるはずです。
転職する目的がはっきりしていないと、わざわざ難易度の高い選択をしたうえにミスマッチで転職が無駄になる可能性もあります。
ポイント②自己分析も時間をかけて
次の注意点は自己分析に時間をかけるということです。これまでに得た自分のスキル・経験・実績をもらさず把握する必要があります。
特に数字を伴ったエピソードはかなり有効ですので、情報をまとめておくと良いでしょう。
また応募先の企業が求めるスキルがなくとも、なにかを成し遂げた・チームで目標を達成したなどの実績が有利に働くケースもあります。
自己分析をおろそかにせず、使える武器はすべて用意しておくようにしましょう。
ポイント③ポートフォリオを準備
エンジニアやデザイナーの転職で、なるべく準備してほしいのがポートフォリオです。
自己分析で明確にしたスキルや実績を証明しつつ、自分の能力をわかりやすく採用側に伝えるためのツールになります。
転職での基本的な採用基準は、企業が求めるスキルを持っているかどうかです。限られた時間で即戦力となる能力をアピールするためにも、ぜひ活用すべきでしょう。
Slerからの転職時に用意すべきポートフォリオ
Slerからの転職時に用意すべきポートフォリオについて解説します。ポートフォリオに必ず必要なのは自己紹介と実績です。
自己紹介の部分はエンジニアの経験とスキルのまとめになります。なるべくシンプルでわかりやすい記載がおすすめです。
実績部分では具体的な成果物を提示します。SIerで開発したシステムは公開できない可能性もあるので、その場合は自分が携わった部分をまとめておきましょう。
手がけたWebサービスやアプリケーションの実績、ほかにはSNSやブログ、GitHubやQiitaといった情報発信の実績も有効です。
ポイント④企業研究を怠らない
企業研究を怠らないことも、SIerからの転職で注意したいポイントのひとつです。
どんなに優秀なスキルを持っていても、応募先のニーズに合っていなければ転職は成功しません。
逆に企業が求める人間像を理解していれば、転職成功率が上昇する可能性もあります。しっかりとした企業研究は、転職を成功させるための基本事項です。
SIerからの転職においても、難易度に関係なくやっておくべき作業でしょう。
SIerからの転職でよくある質問
最後にSIerからの転職でよくある質問についてまとめておきます。回答している質問は以下の3つです。ぜひ参考にしてみてください。
- SIerから転職する際に年齢のリミットはありますか?
- SIerからの転職が難しいと感じた場合は?
- SIer3年目での転職は可能でしょうか?
Q1.SIerから転職する際に年齢のリミットはありますか?
転職する年齢にリミットはありませんが、応募先によっては転職成功率に影響を及ぼすこともあります。推奨される年齢は、異業種・異職種への転職だと30代半ばまで。
同じSIerなら年齢よりもスキルを重視するケースが多いです。また30代以降は管理職として期待される面もあるため、マネジメントスキルがあると転職が有利になります。
Q2.SIerからの転職が難しいと感じた場合は?
転職が難しいとなるケースの多くはスキル不足によるものです。こういった場合、副業をこなすことで解決につながることがあります。
新たなジャンルに挑戦すれば、転職せずともスキルと実績を得ることが可能です。スキルの幅が広がっていけば転職するチャンスも広がります。
副業の可否を確認する必要がありますが、リスクを最小限にしながら転職へと向かえるのでおすすめの方法です。
Q3.SIer3年目での転職は可能でしょうか?
もちろん可能です。ただし大手と中小の違いは気にしておくべきでしょう。大手SIerは案件元であり、全体のプロジェクト管理もおもな業務です。
大手SIer3年目からは管理業務へシフトしていくケースも多く、上流工程の経験が中途半端になる可能性があります。
もちろん企業によって差異はありますが、転職に与える影響は大きいです。おすすめは第二新卒枠での応募で、大手SIerの経歴とポテンシャルを武器にできます。
中小の場合は積み重ねてきた開発スキルをアピールする方法が有効です。
SIerからの転職は難しいのか?まとめ
SIerからの転職は難しいのか?の答えは求める条件によるでしょう。人材不足が顕著なIT業界では、条件にさえこだわらなければ転職は難しくないと言えます。
押さえるべきは大手と中小における業務範囲の違いで、得られたスキルが応募先の求める能力にマッチするのかがポイントです。
まずは記事の内容を参考に、転職難易度を正確に把握することから取りかかってみてください。そうしたうえで転職活動を進めれば成功確率はさらに上昇するでしょう。